おとなの自動車保険の自転車特約を比較・評価

SOMPOダイレクト おとなの自動車保険
オススメ度:
2
保険会社:
SOMPOダイレクト損害保険
名称:
おとなの自動車保険
自転車特約:
自転車傷害特約等
個人賠償:
無制限
示談交渉:
あり
特徴:
安心でおトク

SOMPOダイレクト(旧セゾン自動車火災保険)のおとなの自動車保険では、自転車傷害特約・個人賠償特約・弁護士特約などを組み合わせて自転車事故に備えられます。さらに基本保障の人身傷害保険を「車内・車外ともに補償タイプ」にすることでも、自転車事故によるケガに備えられます。

また、同じグループ会社である損保ジャパンの自動車保険では、一段と手厚い自転車向けの特約があります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。

補償内容・特約

おとなの自動車保険で自転車傷害特約を付けると、自分や家族が自転車事故で死亡・後遺障害・入院すると保険金が受け取れます。死亡すると500万円、後遺障害になると程度によって20~500万円が受け取れます。ケガで入院すると入院1日あたり1万円、5日以上の入院をすると10万円の保険金が別途受け取れます。

自転車傷害特約の補償内容(出典:SOMPOダイレクト公式HP「自転車傷害特約」)

さらに人身傷害保険を車内・車外ともに補償型にすれば、自転車に乗っている時にクルマと接触してケガをしても保険金が受け取れます。相手がクルマだった場合のみ補償される点で自転車傷害特約と異なります。人身傷害保険は保険金額を3000万~無制限まで設定でき、自転車傷害特約よりも多額の保険金が受け取れます。

その他に個人賠償責任特約を付けると、自分や家族が自転車で他人にケガをさせたり他人の物を壊した場合に、賠償額が無制限で補償されます。弁護士特約を付けると、自転車に乗っていてクルマに追突された場合(もらい事故)などに、相手方との示談を弁護士に相談・依頼する時の費用が300万円まで補償されます。

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保険料を他社と比較

おとなの自動車保険に自転車向け特約(自転車傷害特約・個人賠償責任特約・弁護士特約)を付けて、人身傷害補償保険を車内・車外ともに補償型にすると、30歳男性・6等級・アクア・日常レジャー・走行距離9000km以下の人は保険料が年間で約9000円の上昇となります。

これらの特約の中で、弁護士特約の保険料が約4000円と最も高くなっています。他の特約も自転車傷害特約の保険料は約2000円、個人賠償責任特約の保険料は約2300円と安くはありません。その一方で人身傷害保険を車内・車外ともに補償型にしても保険料は約900円上昇するだけで済みます。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・日常レジャー・走行距離9000km以下で算出しました。

自動車保険に自転車特約を付けた時の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井住友海上・三井ダイレクト・チューリッヒ保険・東京海上日動火災・東京海上ダイレクト・損保ジャパン・損保ダイレクト・楽天損保・SBI損保・共栄火災・JA共済・こくみん共済coop)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の特約分の保険料は安く、他社の2万円上昇するケースの半額で済みます。既に自動車保険を契約済みの人が特約を付けても保険料の負担感は軽いです。自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料も他社よりも安めですが、同じダイレクト型の自動車保険より少し高めで、チューリッヒのネット専用保険とは倍近い差があります。保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。

メリット

おとなの自動車保険の自転車向けの特約の中では、まずは自転車傷害特約がある点がメリットに挙げられます。この特約を付けると自転車と自転車の事故、自転車の単独事故でケガをしても保険金が受け取れます。他社では自転車専用の特約が用意されていないケースが多々あります。

それも補償内容にある入院保険金が入院日数に応じて受け取れるのもメリットです。入院1日あたり1万円が受け取れ、ケガで長期入院になっても安心です。他社では東京海上ダイレクトは入院5日以上で5万円の保険金で、三井ダイレクトは入院1日なら1回だけ1万円(5日以上になると10万円)の保険金です。おとなの自動車保険なら2~3日の入院でも入院保険金が受け取れ、5日以上の入院になれば10万円の保険金が別途で受け取れます。

厚労省「患者調査(令和5年)」によると骨折による平均入院日数は35.4日のため、おとなの自動車保険の特約が実際の現場では他社より保険金が受け取れるのが分かります。その中でも0~14歳の骨折による平均入院日数は3.7日のため、この保険の方が他社の5日以上の入院のみ保険金が受け取れる保険より有利です。

自転車傷害特約を付けて人身傷害保険を車内・車外ともに補償型にすれば、自転車とクルマとの事故なら自転車傷害保険よりも手厚い補償が受けられます。人身傷害保険で治療費以外の逸失利益や精神的損害分の保険金が受け取れ、限度額は3000万円~無制限まで設定できます。保険料が前述したように900円で済むため、車内・車外ともに補償にしている人は契約者のうち74%を占めています。

人身傷害保険の補償タイプの加入比率(出典:SOMPOダイレクト公式HP「自転車傷害特約」)

ちなみに個人賠償責任特約の上限額が無制限なのもメリットでしょう。他社には限度額を1億円にしている保険がありますが、それだと賠償額が9000万円台の高額賠償事例にはギリギリです。将来的に一段と高い賠償事例が出てきたとしても限度額が無制限なら金額が不足する心配はいりません。

デメリット・弱点・落とし穴

おとなの自動車保険で自転車向け特約を付けるデメリットとしては、まずはネット系(ダイレクト型)の自動車保険にしては保険料が高めという点が挙げられます。代理店型の自動車保険よりは安いものの、ダイレクト型の中では保険料は高い方です。40代なら保険料は他社より安い方ですが、前述した通り30代だと他社のダイレクト型より1万円以上高いケースもあります。

自転車傷害特約にしても入院補償は他社よりも手厚いものの、ケガでの通院は補償されていません。本家の自転車保険なら、自転車に乗っている時にケガして通院しても通院日数に応じて保険金が受け取れます。それでも保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)のため、この保険に特約を付けるより保険料は節約できます。

自転車傷害特約の補償内容(出典:SOMPOダイレクト公式HP「自転車傷害特約」)

また、弁護士特約が自動車事故に限定されている点もデメリットです。他社の弁護士特約は自動車事故以外に日常生活全般で弁護士特約が利用できるため、自転車と自転車の事故や自転車と歩行者の事故でも弁護士に依頼できます。おとなの自動車保険に弁護士特約を付けても、これらの事故では弁護士特約は利用できません。

ちなみに車両身の回り品特約があるものの自転車が補償の対象外である点に注意が必要です。他社では自転車をクルマに積んで事故で破損すると補償される保険があります。クルマに自転車を積んでサイクリングに行く人は、車両身の回り品特約を付けても無駄になります。

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評判・苦情・口コミ

SOMPOダイレクトの2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の692億円から707億円になり2%増でした。95%以上が自動車保険による数字のため、契約数から考えると自動車保険の評判は良さそうです。

その一方で契約数でいうと、価格.comの「自動車保険の満足度ランキング2025」ではSOMPOダイレクトは7位と下位でした。保険市場の「人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)」でも6位以下でした。契約数は堅調のようですが、比較サイトで人気はあるようには見えません。

保険市場の人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)(出典:保険市場公式HP「自動車保険おすすめ人気ランキング」)

ただ、オリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(ダイレクト型)ではSOMPOダイレクトは9社中で4位でした。1位のソニー損保、2位の三井ダイレクト、3位の東京海上ダイレクトには及びませんでしたが、決して悪い順位ではありません。

この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、加入手続き・商品内容は総合順位より高い4位と高い評価を得ています。その一方で事故の調査認定・ロードサービスでは5位と総合順位よりも下で、総合順位を押し下げる結果となっています。

SOMPOダイレクトのオリコン自動車保険ランキング2025の順位と各項目の評価(出典:オリコン公式HP「SOMPOダイレクト損害保険(おとなの自動車保険)の自動車保険の評判・口コミ」)

さらに同じオリコンでは、ファイナンシャルプランナー(FP)評価ではソニー損保と同率1位でした。専門家からの評価は非常に高く、商品内容で2位、ロードサービスで3位、保険料では1位と個別項目でも高い評価を受けています。利用者の満足度と異なり保険料が1位になっているあたり、補償内容のわりに保険料は安いという判断があったのかもしれません。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「補償内容の選択肢が少ない」「保険金を受け取れるのが遅かった」「更新したら内訳も分からないまま保険料が高くなった」「電話をたらいまわしにされた」「無事故無違反のわりに保険料が高い」等の意見がありました。補償内容から保険金のスピードや顧客対応まで満遍なく不満が見受けられました。

自動車保険 ダイレクト型(FP評価) 総合ランキング(出典:オリコン公式HP「おすすめの自動車保険ランキング・比較」)

以上のデータから考えると、SOMPOダイレクトのおとなの自動車保険の評判は普通そうです。契約数・申し込み数は伸びているものの、各種調査での顧客満足度は中間の順位だからです。あくまで評判については自動車保険本体の話しではありますが、自転車事故向けの特約も付けるにしても過度な心配は不要でしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、おとなの自動車保険に自転車向け特約を付けるのは微妙です。補償内容は入院には手厚いものの弁護士特約等に漏れがあり、保険料も中途半端な安さだからです。保険料か補償内容のどちらかに振り切った保険を選んだ方が良いでしょう。

他社の自動車保険を検討したい人は、保険料を重視するならチューリッヒのスーパー自動車保険、補償内容なら東京海上日動の自動車保険あたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。