チューリッヒ ネット専用自動車保険と自転車特約

チューリッヒ保険
オススメ度:
1
保険会社:
チューリッヒ保険
名称:
ネット専用自動車保険
自転車特約:
個人賠償責任補償特約等
個人賠償:
1億円
示談交渉:
あり
特徴:
保険料で選ぶなら

チューリッヒのネット専用自動車保険には、個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約等の自転車向けの特約があり、人身傷害保険を車内・車外補償にすることでも自転車事故に備えられます。この保険とは別にチューリッヒにはネット専用ではないスーパー自動車保険もあります。

注意すべきは、ネット専用自動車保険とスーパー自動車保険は補償内容も保険料も異なる点です。スーパー自動車保険にある一部の特約がネット専用自動車保険にはありません。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。

補償内容・特約

チューリッヒのネット専用自動車保険で自転車事故に備えるには、まずは人身傷害保険を「車内のみ補償タイプ」から「車内・車外補償タイプ」にする必要があります。この特約を付けると車内にいる時(クルマに乗っている時)以外でも、自動車と事故になればケガが補償されます。つまり自分や家族が自転車に乗っている時にクルマと衝突してケガをすれば保険金が受け取れます。

ネット専用自動車保険の人身傷害保険の選べる補償タイプ(出典:チューリッヒ ネット専用自動車保険公式HP「人身傷害保険」)

人身傷害保険で受け取れる保険金額は、治療費に加えて通院交通費・休業損害・逸失利益などが加算された額となります。時として保険金額は数千万円になるため、チューリッヒでは保険金の限度額を無制限に設定することが推奨されています。ただ、保険料節約のために3000万円を上限にすることも可能です。

さらに特約では個人賠償責任補償特約は必須でしょう。個人賠償責任補償特約を付けると、自分や家族が自転車で他人にケガをさせて相手から損害賠償された時に保険金が受け取れます。損害賠償額が1億円を限度に補償され、チューリッヒによる示談交渉の代行も付いています。

弁護士費用等補償特約も検討の余地があります。自転車事故で加害者ではなく被害者となった場合や、相手方が保険に加入していなかった場合などに弁護士に相談して示談交渉等を依頼できます。弁護士に法律相談した際の費用は10万円を限度に補償され、実際に依頼した際の費用は300万円を限度に補償されます。

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保険料を他社と比較

チューリッヒのネット専用自動車保険に自転車向け特約(個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約)を付けて、人身傷害補償保険を車内・車外補償タイプにすると、30歳男性・6等級・アクアの人は保険料が年間で約7800円の上昇となります。

これらの特約の中で最も高いのは弁護士特約の保険料が約4300円で、これだけで特約分の保険料の半額以上を占めます。個人賠償責任補償特約は上限額を1億円にすると保険料は約2600円です。上限額を5000万円に下げても約2400円、3000万円に下げても約2300円のため大した節約にはなりません。人身傷害保険を車内・車外補償タイプにしても保険料は900円程度の上昇で済みます。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・走行距離9000km以下で算出しました。

自動車保険に自転車特約を付けた時の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井住友海上・三井ダイレクト・チューリッヒ保険・東京海上日動火災・東京海上ダイレクト・損保ジャパン・損保ダイレクト・楽天損保・SBI損保・共栄火災・JA共済・こくみん共済coop)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の特約分の保険料は他社と比べて安めです。他社には上昇幅が2万円を超えるケースもありますが、チューリッヒのネット専用自動車保険なら半額以下の額で済みます。ただ、他社の自動車保険のように自転車専用の特約(詳細は後述)が無い分だけ安いともいえます。また、自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料も他社よりも安めです。保険料面では間違いなく他社より優秀です。

メリット

チューリッヒのネット専用自動車に自転車向けの特約を付けるメリットは、まずは保険料が安い点が挙げられます。前述したように特約分の保険料は安く、トータルの保険料でも他社よりも圧倒的に安く半額近いです。そのため他社ほど負担感なく特約で自転車事故に備えられます。

また、現在は他社の自動車保険に加入しているなら、チューリッヒのネット専用自動車保険に乗り換えて、浮いた分の保険料で自転車保険に加入するという手もあります。自転車保険なら自転車とクルマの事故以外に、自転車と自転車の事故や自転車の単独事故でケガをしても補償されます。自転車の破損・盗難を補償する保険もあります。自分のクルマの運転よりも子供が乗る自転車の方が心配だ、という人に向いている方法です。

補償面では個人賠償責任補償特約に示談交渉サービスがあり、弁護士特約も日常生活で利用できるのもメリットです。他社の弁護士特約は自動車事故に限定されているケースがあります。弁護士特約があれば、自転車事故で被害者になり個人賠償責任補償特約の示談交渉サービスは使えない時、保険金を使って弁護士に示談交渉を依頼できます。

デメリット・弱点・落とし穴

まずは、人身傷害保険だけでは自転車事故への備えとして不十分である点がデメリットに挙げられます。人身傷害保険では自転車と自動車での事故でケガをすれば補償されますが、自動車以外との事故でケガをしても補償されません。自転車と自転車、自転車と歩行者、自転車での単独事故でケガをしても補償されません。

さらに同じチューリッヒのスーパー自動車保険にあった特約が、ネット専用自動車保険には付けられない点もデメリットです。スーパー自動車保険には日常生活全般でのケガを補償する傷害特約、自転車をクルマで運搬した際に補償される車内身の回り品特約がありません。特に傷害特約は人身傷害保険を補完できる特約のため、自転車事故への備えとして欠かせません。

スーパー自動車保険とネット専用自動車保険の違い(出典:チューリッヒ ネット専用自動車保険公式HP「ネット専用自動車保険とスーパー自動車保険の違いについて」)

個人賠償責任補償特約にしても上限額が1億円で若干の不安があります。自転車事故の高額賠償事例は今のところ9000万円台のため不足はしませんが、今後の事例によっては1億円を越えるケースが出てくるかもしれません。そうなると保険金をオーバーした数百万円か数千万円を自分で負担することになります。

ちなみに本家の自転車保険なら、自動車との事故に限らず自転車に乗っている時のケガ全般が補償され、加害者となった場合の個人賠償責任補償も付いています。それでも保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)のため、この保険に自転車向けの特約を付けるよりも大幅に保険料が節約できます。

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評判・苦情・口コミ

チューリッヒ保険の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の486億円から508億円になり4.5%増でした。自動車保険の正味収入保険料も233億円で前年度から6%増のため、契約数から考えると評判は悪くなさそうです。

さらに契約数でいうと、保険市場の「人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)」ではチューリッヒのネット専用自動車保険は3位でした。同じく保険料の安さを謳うSBI損保(1位)や三井ダイレクト損保(2位)には劣るものの、契約数が伸びている証拠ではあります。

保険市場の人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)(出典:保険市場公式HP「自動車保険おすすめ人気ランキング」)

その一方でオリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(ダイレクト型)では、チューリッヒは9社中で7位と下位でした。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、多くの項目が6~8位でした。唯一、事故対応だけが5位でトップ5に入っていました。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「事故後の保険料の上昇幅が大きい」「ロードサービスは細かい制約が多い」「担当者によっては対応が良くない」「電話ではなく文書での報告が無い」等の意見がありました。事故対応・ロードサービスに関しての不満が多めに見受けられました。

チューリッヒ保険のオリコン自動車保険ランキング2025の順位と各項目の評価(出典:オリコン公式HP「チューリッヒの自動車保険の評判・口コミ」)

以上のデータから考えると、チューリッヒの自動車保険の評判は少し悪い可能性があります。契約数・申し込み数は伸びているものの、顧客満足度が低い調査結果があるからです。あくまで上述の評判は自動車保険本体の話しですが、自転車事故向けの特約を付けるにしても評判面で一抹の不安があります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、チューリッヒのネット専用自動車保険に自転車向け特約を付けるのはオススメできません。自転車事故に備えるには補償内容が不十分だからです。自動車保険とは別に自転車保険に加入した方が、保険料面でも補償面でも賢い選択といえます。

他の自動車保険を検討したい人は、同じチューリッヒのスーパー自動車保険や東京海上ダイレクトあたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。