損保ジャパン 自動車保険と自転車特約を比較/評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 損保ジャパン
- 名称:
- THEクルマの保険
- 自転車特約:
- 人身傷害交通乗用具事故特約等
- 個人賠償:
- 無制限
- 示談交渉:
- あり
- 特徴:
- 先進のサービス、万全の事故対応
損保ジャパンの自動車保険には人身傷害交通乗用具事故特約という自転車向けの特約があり、それに個人賠償責任補償特約・弁護士費用特約などを組み合わせて自転車事故に備えられます。人身傷害交通乗用具事故特約は、2021年まであった人身傷害車外事故特約の補償を拡大し名称が変更された特約です。
また、損保ジャパンの子会社で通販型(ダイレクト型)の自動車保険を販売しているSOMPOダイレクトの自動車保険では、人身傷害交通乗用具事故特約ではなく自転車傷害特約があります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。
補償内容・特約
2022年1月から付けられる人身傷害交通乗用具事故特約は、自動車以外の交通乗用具に乗っているか接触・衝突してケガした時に、人身傷害保険が適用される特約です。乗り物には自転車の他に、原付・電車・エスカレーター・飛行機・ベビーカー等が含まれます。つまり、この特約を付ければ自転車に乗っている最中にケガしても、歩行中に自転車と接触してケガしても補償されます。
人身傷害保険の保険金は3000万円~無制限まで設定でき、ケガをすれば治療の実費以外の損害も勘案された額が受け取れます。ケガで入院・通院すれば休業損害(働けない間の収入)や精神的損害が勘案されます。後遺障害になれば逸失利益(労働能力を喪失したことになる将来の収入)や将来の介護料、死亡すれば葬祭費等も加算した金額が受け取れます。
その他に人身傷害保険には入通院定額給付金と入院サポート費用保険金も付いています。入通院定額給付金は5日以上の入通院日数になると10万円が受け取れます。入院サポート費用保険金は入院時の身の回りの世話をヘルパーに依頼した場合の費用を日額15000円を限度に受け取れます。人身傷害入院時諸費用特約も付けると、ヘルパー費用以外に保育施設の預け入れ費用やペット預け入れ費用も1日あたり2.5万円を限度に補償されます。
その他に、個人賠償責任特約を付けると、自分や家族が自転車で他人にケガをさせて損害賠償された時に賠償額が無制限で補償されます。海外でケガをさせた場合でも1億円まで補償されます。弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)も付けると、自転車事故で自分が被害者となり弁護士に相談したい時に300万円まで依頼料が補償されます。
保険料を他社と比較
損保ジャパンの自動車保険に自転車向け特約(人身傷害交通乗用具事故特約・個人賠償責任特約・弁護士費用特約)を付けると、30歳男性・6等級・アクアの人は保険料が年間で約1.2万円の上昇となります。
これらの特約の中で、弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)の保険料が約6000円で最も高いです。次いで人身傷害交通乗用具事故特約の保険料が約4700円と高いのですが、東京海上で同様の特約を付けると1万円超の保険料のため安いともいえます。その他の個人賠償責任特約の保険料は約2000円と安めで、人身傷害入院時諸費用特約の保険料は200円と非常に安いです。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・走行距離9000km以下で算出しました。
この保険の特約分の保険料は他社と比べて安めのため、既に自動車保険を契約済みの人が特約を付けても保険料の負担は大きくは増しません。自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料も他社よりも安く、同じ代理店型の自動車保険の中では最も安い保険です。ネット系(ダイレクト型)の自動車保険には保険料面では及びませんが、保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。
メリット
損保ジャパンにある一連の自転車向けの特約の中では、まずは人身傷害乗用具事故特約がある点がメリットに挙げられます。他社の自動車保険の人身傷害保険は車内・車外補償型にしても、事故の相手がクルマでなければ補償されません。この特約があれば自転車と自転車の事故、自転車と歩行者との事故でケガをしても補償されます。東京海上にも類似の特約がありますが、特約分の保険料が段違いに安いのもメリットです。
この特約で記されている乗用具の範囲が広い点も見逃せません。自転車以外に車イス・エスカレーター・飛行機も含まれます。自分以外に小さい子供や高齢者がいる家庭なら、エスカーレーター・電車・動く歩道でのケガの補償は心強いでしょう。さらに移動用小型車も含まれるため電動キックボードやセグウェイのようなパーソナルモビリティも補償の対象です。街中で自分が乗っている場合でも、他人が乗っていて衝突されてケガしても補償されます。
さらに人身傷害保険に自動セットされている入院サポート費用保険金と、オプションで付けられる人身傷害入院時諸費用特約もメリットでしょう。入院サポート費用保険金は、病院内での買い物・洗濯等のためにヘルパーを雇った場合に日額1.5万円まで補償されます。人身傷害入院時諸費用特約を付けると、自宅での家事全般や介護代行等のヘルパーの費用が1日2.5万円まで補償され、お見舞い返しの費用まで10万円を限度に補償されます。
他社でも代理店型の自動車保険なら類似のサービスが提供されていますが、損保ジャパンはヘルパーについてはニチイ学館、お見舞い返しについては伊勢丹・高島屋・三越と提携している点で異なります。治療中に面倒なヘルパー業者を選ぶ手間や、品物を考える煩わしさが軽減できます。
日常生活賠償特約の補償額が無制限で、かつ海外の事故でも1億円まで補償されるのも見逃せません。他社では上限額を1億円にしている保険がありますが、自転車事故の高額賠償事例の9000万円台にはギリギリの金額です。また、海外でも1億円まで補償されるため、海外旅行中に自転車に乗って事故を起こした場合や、子供がホテルの備品・装飾品を壊した場合にも利用できます。
デメリット・弱点・落とし穴
損保ジャパンで自転車向け特約を付けるデメリットとしては、まずは保険料が高い点が挙げられます。前述した通り代理店型の自動車保険の中では特約分の保険料は安いものの、トータルの保険で見ればネット系(ダイレクト型)の自動車保険の方が保険料は安いです。その分だけ補償は手厚いともいえますが、家計への負担を考えると何かの特約を省いたり保険金額を下げる等の工夫が必要でしょう。
保険料が高めのわりに、後述するように評判面で不安があるもの気がかりです。ネット系の自動車保険と同列で比較した保険の顧客満足度や、事故対応の満足度では代理店型なのにネット系に劣る満足度になっています。保険料を取るか補償内容や顧客対応等を取るか非常に難しい判断が必要となります。
補償面では細かい点ですが、個人賠償責任補償特約の海外での賠償額は1億円までで、三井住友海上の3億円よりも低いです。海外での賠償事故は日本よりも高額になるケースも多いため若干の不安はあります。また、車内積載動産特約は自転車が補償の対象外です。クルマに自転車を積んでサイクリングに行く人は、この特約を付けても自転車が破損しても補償されません。
ちなみに本家の自転車保険ならケガ・損害賠償の補償に加えて、自転車の破損・盗難が補償される保険があります。それでも保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)のため、この保険に自転車向けの特約を付けるよりも大幅に保険料が節約できます。
評判・苦情・口コミ
損保ジャパンの2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の2.17兆円から2.22兆円になり2%増でした。自動車保険の正味収入保険料も1.0兆円で前年度から1%増のため、契約数から考えると評判は悪くありません。
しかし、調査会社のJDパワーの自動車保険契約者満足度調査2024(代理店部門)では、損保ジャパンは5社中で3位で部門平均を下回っていました。この調査は契約手続き・保険料・事故対応・顧客対応等が調査項目ですが、多くの項目の満足度は平均以下ということになります。同じJDパワーの自動車事故対応満足度調査では12社中で10位のため、事故対応の満足度は他社よりも明らかに低いです。
また、損保ジャパンは価格.comの自動車保険満足度ランキング2025では10位で、オリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(代理店型)でも7社の中で最下位でした。オリコンの調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、どの項目も6~7位と低評価で良い点が見受けられません。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「事故からの解決が遅すぎる」「事故対応の担当者が知識不足」「過失割合が高く交渉力に疑問が残る」「長期契約しているのに何の特典も無い」「ロードサービスの利用について詳しい説明が欲しかった」等の意見がありました。さすがに最下位だけあって満遍なく不満が見受けられました。
以上のデータから考えると、損保ジャパンの自動車保険の評判は少し悪そうです。契約数・申し込み数は伸びていますが、各種調査での顧客満足度が下位だからです。あくまで上述の評判は自動車保険本体の話しですが、自転車事故向けの特約を付けるにしても不安感は拭えません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、損保ジャパンの自動車保険に自転車向け特約を付けるのはオススメです。自転車事故に備えるのに補償内容は十分で、保険料も代理店型の自動車保険の中では安いからです。評判面では一抹の不安がありますが、既述の不満に対して顧客対応が良かったという意見もあるため、自分に付く担当者は運次第と考えて割り切れば良いでしょう。
他社の自動車保険を検討したい人は、保険料を重視するならチューリッヒのスーパー自動車保険、補償内容なら東京海上日動の自動車保険あたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。