東京海上 自動車保険と自転車特約を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 東京海上日動火災
- 名称:
- トータルアシスト自動車保険
- 自転車特約:
- 人身傷害乗用具事故補償特約等
- 個人賠償:
- 無制限
- 示談交渉:
- あり
- 特徴:
- 信じられる、安心を
東京海上の自動車保険には人身傷害乗用具事故補償特約という自転車向けの特約があり、それに個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約などを組み合わせて自転車事故に備えられます。人身傷害乗用具事故補償特約が付けられるようになったため、自転車傷害補償特約(一時金払)は2024年1月に廃止されました。
また、東京海上の子会社で通販型(ダイレクト型)の自動車保険を販売している東京海上ダイレクトの自動車保険では、自転車傷害特約が残っています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。
補償内容・特約
2024年1月から付けられる人身傷害乗用具事故補償特約は、自動車以外の乗り物に乗っている最中にケガしたり、歩行中に自動車以外の乗り物と接触した時に人身傷害保険が適用される特約です。乗り物には自転車の他に、原付・車イス・歩行補助車が含まれます。つまり、この特約を付ければ自転車に乗っている最中にケガしても、歩行中に自転車と接触してケガしても補償されます。
人身傷害保険の保険金は3000万円~無制限まで設定でき、ケガをすれば治療費等の実費の他に休業損害や精神的損害も勘案された額が受け取れます。後遺障害になれば逸失利益や将来の介護料、死亡すれば葬祭費等も加算した金額が受け取れます。
人身傷害保険には入院時選べるアシスト特約が自動セットされています。人身傷害保険が適用されるケガで3日以上の入院となると、10万円を限度に様々なメニューから補償を選べます。その中には差額ベッド代の他に、書籍などのコンテンツ利用料やホームヘルパー派遣料・退院お祝いサービスなど多岐に渡ります。
その他に、個人賠償責任補償特約を付けると、自分や家族が自転車で他人にケガをさせて損害賠償された時に賠償額が無制限で補償されます。海外でケガをさせた場合でも1億円まで補償されます。弁護士費用等補償特約(日常生活・自動車事故型)も付けると、自転車事故で自分が被害者となり弁護士に相談したい時に300万円まで依頼料が補償されます。
保険料を他社と比較
東京海上の自動車保険に自転車向け特約(人身傷害乗用具事故補償特約・個人賠償責任補償特約・弁護士費用等補償特約)を付けると、30歳男性・6等級・アクアの人は保険料が年間で約2万円の上昇となります。
これらの特約の中で、人身傷害乗用具事故補償特約の保険料が約12000円と最も高くなっています。次いで弁護士特約(日常生活・自動車事故型)の保険料が約6000円と高く、個人賠償責任補償特約の保険料も約3000円ほどで安くはありません。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・走行距離9000km以下で算出しました。
この保険の特約分の保険料は他社と比べて高めのため、既に自動車保険を契約済みの人が特約を付けると保険料の負担感は明らかに増します。自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料も他社よりも高く、他の代理店型の自動車保険と比べても高いです。保険料面ではメリットは無いようですが、保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。
メリット
東京海上にある一連の自転車向けの特約の中では、まずは人身傷害乗用具事故補償特約がある点がメリットに挙げられます。他社の自動車保険の人身傷害保険は車内・車外補償型にしても、相手がクルマでなければ補償されません。この特約を付ければ自転車と自転車の事故、自転車とトローリーバス、自転車と歩行者との事故でケガをしても補償されます。
この特約で記されている乗用具の範囲が広い点も見逃せません。自転車以外にベビーカー・そりに加えて歩行補助車(原動機あり)や移動用小型車も含まれます。そのため電動キックボードやセグウェイのようなパーソナルモビリティも補償の対象です。街中で自分が乗っていてケガをしたり、誰かが運転している電動キックボードに衝突されてケガをしても補償されます。
さらに人身傷害保険に自動セットされている入院時選べるアシスト特約もメリットでしょう。差額ベッド代の他にタクシー費用や入院中の暇つぶしのコンテンツ利用料も補償されます。入院3日目から10万円を限度に補償され、10日を過ぎると再び10万円の補償が受けられるため長期の入院でも安心です。他社と異なり、ホームヘルパーは2万円までといった項目毎の限度額が無い点も優れています。
人身傷害保険には傷害一時金特約も付けられます。この特約を付けると入院日数が5日以上となった場合に一時金で10万円または20万円が受け取れます。人身傷害保険本体の保険金を受け取る前に10~20万円が受け取れるため、治療費の他に急な出費があった時に役に立ちます。
また、日常生活賠償特約の補償額が無制限で、かつ国外でも1億円まで補償されるのも見逃せません。他社では上限額を1~3億円にしている保険が多い中で、この保険は無制限で補償されるため安心感が段違いです。国外でも1億円まで補償されるため、海外旅行中に子供がホテルの備品・装飾品を壊した場合にも利用できます。
デメリット・弱点・落とし穴
東京海上で自転車向け特約を付けるデメリットとしては、まずは保険料が高い点が挙げられます。前述した通り特約分の保険料が高く、特約を付けると保険料が大幅に上昇します。元々の自動車保険の保険料も高いため、合計額で考えると家計への負担感は相当に大きくなります。何かしらの特約を省いたり保険金額を下げる等の工夫が必要でしょう。
補償面では入院時選べるアシスト特約は入院3日目から、傷害一時金特約は入院5日目からという点に注意が必要です。どちらも1~2日の短期入院では保険金が受け取れません。厚労省「患者調査(令和5年)」によると0~14歳の骨折による平均入院日数は3.7日、 15~34歳の平均入院日数は9.0日となっています。子供が事故で骨折した場合だと、入院時選べるアシストは使えるかギリギリで、傷害一時金特約の保険金を受け取るのは難しそうです。
細かい点ですが、個人賠償責任補償特約の海外での賠償額は1億円までで、三井住友海上の3億円よりも低くなっています。海外での賠償事故は日本よりも高額になるケースも多いため若干の不安はあります。また、車内携行品補償特約は自転車が補償の対象外です。クルマに自転車を積んでサイクリングに行く人で自転車の補償が欲しくても東京海上の自動車保険では付けられません。
ちなみに本家の自転車保険ならケガ・損害賠償の補償に加えて、自転車の破損・盗難が補償される保険があります。それでも保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)のため、この保険に自転車向けの特約を付けるよりも大幅に保険料が節約できます。
評判・苦情・口コミ
東京海上の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の2.4兆円から2.5兆円になり4%増と好調でした。大半を占める自動車保険の正味収入保険料も1.1兆円で前年度から3%増のため、契約数から考えると評判は悪くなさそうです。
また、調査会社のJDパワーの自動車保険契約者満足度調査2024(代理店部門)では、東京海上は5社中で2位とトップ3に入っていました。この調査は契約手続き・保険料・事故対応・顧客対応等が調査項目ですが、保険証券の部門ではAIG損保を抜いて最高評価を得ていました。自動車事故対応満足度調査でも12社中で6位のため、全体の満足度ほどではないものの一定の満足度はあるようです。
さらにオリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(代理店型)でも、東京海上は7社中で3位と同じ順位でした。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、商品内容・事故対応・調査認定・保険金の受取額とスピードで総合順位と3位でした。その一方で保険料・加入手続きは4位と総合順位を下げる要因となっており、既述の保険料の高さは多くの人の不満要因となっているようです。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「事故担当者がいるのが17時までのため仕事中で連絡できなかった」「10何万円の保険金で等級が3つも下がって保険料が大幅に上昇した」「事故の立会いに1人で対応したため心細かった」「事故後の連絡と経過報告が無い」等の意見がありました。事故対応は悪くはないはずですが、一定数の不満が見受けられました。
以上のデータから考えると、東京海上の自動車保険の評判は悪くはなさそうです。契約数・申し込み数は伸びており、各種調査での顧客満足度も上位だからです。あくまで上述の評判は自動車保険本体の話しですが、とりあえず自転車事故向けの特約を付けるにしても評判面で過度な心配は不要でしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、東京海上の自動車保険に自転車向け特約を付けるのは微妙です。自転車事故に備えるのに補償内容は十分ですが、いかんせん保険料が高過ぎです。もしも、これまでの東京海上や代理店の対応が良く、保険料を度外視して契約している人なら悪くないかもしれません。
他社の自動車保険を検討したい人は、保険料の安さなら三井ダイレクトや東京海上ダイレクトあたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。