SBI損保の自動車保険の自転車特約を比較・評価

SBI損保の自動車保険
オススメ度:
2
保険会社:
SBI損害保険
名称:
自動車保険
自転車特約:
自転車事故補償特約等
個人賠償:
無制限
示談交渉:
あり
特徴:
充実の補償で大きな安心

SBI損保の自動車保険では、自転車事故補償特約・個人賠償責任危険特約・弁護士費用等補償特約などを組み合わせて自転車事故に備えられます。さらに基本保障の人身傷害保険を「自動車事故補償タイプ」にすることでも、自動車と自転車の事故によるケガに備えられます。

それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。

補償内容・特約

SBI損保の自動車保険で自転車事故補償特約を付けると、自転車に乗っていて他人にケガをさせたり物を壊して加害者となった場合に、被害者からの損害賠償が限度額が無制限で補償されます。補償の対象は契約者自身に加えて、同居する家族や別居の未婚の子も含まれます。この特約は自転車で他人に損害を与えた場合のみ補償されますが、個人賠償責任特約を付けると自転車以外(子供が石を投げて窓を割った等)の日常生活全般が補償の対象となります。

SBI損保の自動車保険の特約一覧と補償内容(出典:SBI損保の自動車保険 商品パンフレット2026年1月1日以降保険始期契約用)

さらに自転車事故補償特約を付けると、自分や家族が自転車事故で死亡・後遺障害・入院すると保険金が受け取れます。死亡すると1000万円の死亡保険金、後遺障害になると程度によって40~1000万円の後遺障害保険金が受け取れます。ケガで5日以上の入院をすると5万円の医療保険金が受け取れます。

また、人身傷害保険は「自動車事故補償プラン」と「契約自動車搭乗中のみ補償プラン」があり、自動車事故補償プランにすれば、自転車に乗っている時や歩行中に他人のクルマと接触してケガをしても保険金が受け取れます。相手がクルマだった場合のみ補償される点で自転車傷害特約と異なります。人身傷害保険は保険金額を3000万~無制限まで設定できます。

その他に弁護士費用等補償特約を付けると、もらい事故などで保険会社が示談交渉できない場合に弁護士に依頼する料金が補償されます。例えば自転車に乗っていてクルマに追突された場合などが考えられ、弁護士への相談料・依頼料が300万円まで補償されます。

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保険料を他社と比較

SBI損保の自動車保険に自転車向け特約(自転車事故補償特約・個人賠償責任特約・弁護士費用等補償特約)を付けて、人身傷害補償保険を自動車事故補償プランにすると、30歳男性・6等級・アクア・日常レジャー・走行距離9000km以下の人は保険料が年間で約1.2万円の上昇となります。

これらの特約の中で弁護士特約の保険料が約5500円と最も高いのですが、自転車事故補償特約の保険料も約4000円と安くはありません。個人賠償責任特約の保険料は約1500円ですが、自転車事故補償特約とセットにすると約5500円ではなく約5200円となり少し安くなります。人身傷害保険を自動車事故補償プランにしても保険料は約1500円上昇するだけで、他の特約よりは安く済みます。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・日常レジャー・走行距離9000km以下で算出しました。

自動車保険に自転車特約を付けた時の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井住友海上・三井ダイレクト・チューリッヒ保険・東京海上日動火災・東京海上ダイレクト・損保ジャパン・損保ダイレクト・楽天損保・SBI損保・共栄火災・JA共済・こくみん共済coop)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の特約分の保険料は他社と比べて平均並み、中間に近い金額といえます。自転車向け特約を付けた自動車保険トータルの保険料も平均に近く、他社より僅かに安いか否かというレベルです。最安値のチューリッヒのネット専用保険とは倍近い差があります。保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。

メリット

SBI損保の自転車向けの特約の中では、まずは自転車事故補償特約がある点がメリットに挙げられます。この特約は加害者になった場合と被害者になった場合の補償がセットになっています。加害者となり相手から損害賠償をされても賠償額が無制限でされ、他社の上限額が1億円の保険より余裕があります。それも補償の対象が自転車事故に限られているため、日常生活全般の補償は不要という人は保険料の無駄がありません。

自転車での加害事故事例(出典:SBI損保公式HP「自転車事故補償特約」及び日本損害保険協会発行「知っていますか?自転車の事故」)

被害者となった場合は死亡・後遺障害・入院となると保険金が受け取れます。人身傷害保険では補償されない自転車と自転車の事故、自転車の単独事故でも補償されます。さらに死亡・後遺障害の補償は他社では保険金額を300~500万円とする保険が多い中で、この保険は倍額の1000万円です。他社では自転車専用の特約が用意されていないケースがありますが、SBI損保の自動車保険の契約者のうち4人に1人が自転車傷害特約を付けています。

自転車事故補償特約を付けて人身傷害保険を自動車事故補償プランにすれば、自転車とクルマとの事故なら自転車事故補償特約よりも手厚い補償が受けられます。人身傷害保険では治療費の実費以外の逸失利益や精神的損害分の保険金が受け取れ、限度額は3000万円~無制限まで設定できます。

自動車事故補償プランと契約自動車搭乗中のみ補償プランの違い(出典:SBI公式HP「自転車事故補償特約」)

ちなみにSBI損保の保険契約者はクラブオフプレミアムという優待サービスが利用できます。その中には自転車店・スポーツショップでの3~5%割引特典があるため、自転車や自転車のアクセサリを購入する人にはメリットかもしれません。

デメリット・弱点・落とし穴

SBI損保の自動車保険で自転車向け特約を付けるデメリットとしては、まずは自転車事故補償特約のケガの補償が薄い点が挙げられます。他社には入院日数に応じて保険金が受け取れる保険がありますが、この保険は5日以上の入院が条件で保険金も1回限りです。さらに本家の自転車保険ならケガで通院しても通院日数に応じて保険金が受け取れ、保険料は月額300~500円(年間4000~6000円程度)でSBI損保の特約分の保険料より安いです。

自転車事故の賠償と日常生活の賠償の補償が分かれている点も、見方によってはデメリットです。自転車事故補償特約を付けたため、子供が他人の家で窓ガラスを割った時に補償はされなかった、というケースは容易に想像できます。そう考えると結局は個人賠償責任特約を付けた方が無難という話しになり、わざわざ分ける意味があるのか疑問といえます。

個人賠償責任危険補償特約と自転車事故補償特約の補償範囲(出典:SBI損保公式HP「個人賠償責任危険補償特約」)

また、弁護士特約が自動車事故に限定されている点もデメリットです。他社の弁護士特約は自動車事故以外に日常生活全般で弁護士特約が利用できるため、自転車と自転車の事故や自転車と歩行者の事故、自転車が無関係のトラブルでも弁護士に依頼できます。SBI損保の自動車保険に弁護士特約を付けても、これらの事故・トラブルでは弁護士特約は利用できません。

ちなみに車内外身の回り品補償特約があるものの自転車が補償の対象外である点に注意が必要です。他社では自転車をクルマに積んで事故で破損すると補償される保険があります。クルマに自転車を積んでサイクリングに行く人は、車内外身の回り品補償特約を付けても無駄になります。

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評判・苦情・口コミ

SBI損保の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の356億円から395億円になり10%増と好調でした。その中で自動車保険も前年比で9.7%増だったため、契約数から考えると自動車保険の評判は良さそうです。

さらに契約数でいうと、保険市場の「人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)」ではSBI損保は1位でした。人気があるのは間違いなさそうで、価格.comの「自動車保険の満足度ランキング2025」でもSBI損保は4位でトップ5に入っていました。補償内容部門では3位で、保険料部門では1位だったため補償内容のわりに保険料は安いと考えている人が多そうです。

保険市場の人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)(出典:保険市場公式HP「自動車保険おすすめ人気ランキング」)

オリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025(ダイレクト型)では、SBI損保は少し順位を落として9社中で5位でした。1位のソニー損保、2位の三井ダイレクト、3位の東京海上ダイレクト、4位のSOMPOダイレクトには及ばず中間の順位にあります。

この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、この調査でも保険料では3位と高い満足度でした。その一方で事故対応は6位、事故の調査認定が7位と事故対応については不安が残る結果となっています。

SBI損保のオリコン自動車保険ランキング2025の順位と各項目の評価(出典:オリコン公式HP「SBI損保の自動車保険の評判・口コミ」)

さらに同じオリコンでは、ファイナンシャルプランナー(FP)評価でもSBI損保は同様に5位でした。専門家からの評価も普通のようですが、保険料で5位、商品内容で7位、ロードサービスで5位と中途半端な結果になっています。利用者の満足度と異なり保険料が5位に落ちているあたり、専門家から見ると保険料は大して安くない、補償内容のわりに保険料は高いという判断があったのかもしれません。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「担当者の代わりの人の態度が悪かった」「ロードサービスで電話したら繋がらなかった」「示談の交渉力がない」「保険金を受け取れるのが相当遅れた」「継続契約すると保険料は高い」等の意見がありました。サービス内容から保険金のスピードや顧客対応まで満遍なく不満が見受けられました。

自動車保険 ダイレクト型(FP評価) 総合ランキング(出典:オリコン公式HP「おすすめの自動車保険ランキング・比較」)

以上のデータから考えると、SBI損保の自動車保険の評判は普通そうです。契約数・申し込み数は伸びているものの、各種調査での顧客満足度は中間の順位だからです。あくまで評判については自動車保険本体の話しではありますが、自転車事故向けの特約も付けるにしても過度な心配は不要でしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、SBI損保の自動車保険に自転車向け特約を付けるのは微妙です。補償内容は死亡には手厚いもののケガには薄く、弁護士特約等にも漏れがあります。保険料の評判は良いようですが、既述の通り特別に保険料が安いわけではありません。その他の評判面でも取り立てて良い点は見受けられないため、この保険を選ぶ後押しにはなりません。

他社の自動車保険を検討したい人は、保険料を重視するならチューリッヒのスーパー自動車保険、補償内容なら東京海上日動の自動車保険あたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。