ソニー損保 自動車保険と自転車特約を比較・評価

ソニー損害保険
オススメ度:
1
保険会社:
ソニー損保
名称:
総合自動車保険 Type S
自転車特約:
おりても傷害特約など
個人賠償:
3億円まで
示談交渉:
あり
特徴:
確かな、安心を

ソニー損保の自動車保険には自転車専用の特約が無いため、個人賠償特約・おりても傷害特約・おりても身の回り品特約などを組み合わせて自転車事故に備える必要があります。さらに基本保障の人身傷害補償を調整することで、自転車での事故に備えられます。

それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の自動車保険の自転車向け特約と比較していきます。

補償内容・特約

ソニー損保の自動車保険で自転車事故に備えるなら、まずは個人賠償特約と人身傷害保険は必須でしょう。個人賠償特約を付けると、自転車で他人にケガをさせて相手から高額な損害賠償をされても、3億円まで賠償額が補償されます。さらに人身傷害保険を「車内のみ補償型」ではなく「車内+車外補償型」にすることで、自分が自転車に乗っていて自動車と接触してケガをすると治療費が補償されます。どちらも自分だけでなく家族も対象となります。

ソニー損保の自動車保険の自転車向け特約(出典:ソニー損保の自動車保険 保険商品パンフレット2025年1月以降始期版)

さらに「おりても傷害特約」と「おりても身の回り品特約」でも自転車事故・損害に備えられます。おりても傷害特約は車で出かけた先でのケガが補償される特約です。例えば車で出かけた先で自転車に乗り、坂で転倒してケガをすると治療費が補償されます。入院すれば入院日数に応じて日額5000円の保険金が受け取れ、通院なら日額1500円の保険金が受け取れます。人身傷害保険は自動車との事故が条件のため、上述の事例では保険金は受け取れません。

おりても身の回り品特約は車で出かけた先で、身の回り品が破損・盗難された場合に補償される特約です。例えば、車でロードバイクを運んで山中でロードバイクに乗り、転倒して破損した場合に損害額が補償されます。車にロードバイクを積載して運搬中に破損しても損害額が補償されます。

弁護士特約も付けると心強い特約です。弁護士特約を「自動車事故のみ」ではなく「自動車+日常事故」にすることで、日常事故のトラブルでも弁護士に依頼できます。自転車事故でいえば自分が加害者となった場合には個人賠償特約があれば、示談交渉はソニー損保が代行してくれます。しかし、自分が被害者(自分が歩行中に自転車に衝突された等)の場合には示談交渉は代行してくれません。この特約があれば相手方との交渉を弁護士に依頼できます。

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保険料を他社と比較

ソニー損保の自動車保険に自転車向け特約(個人賠償特約・おりても傷害特約・おりても身の回り品特約・弁護士特約)を付けて人身傷害保険を車内+車外にすると、30歳男性・6等級・アクアの人は保険料が年間で17740円の上昇となります。

これらの特約の中で、おりても傷害特約(家族型)の保険料が約8000円と最も高いです。次いで弁護士特約(自動車+日常事故)の保険料が約5000円と高くなっています。人身傷害保険(車内+車外)は約1700円、、個人賠償特約は約1800円、おりても身の回り品特約は約700円のため、おりても傷害特約(家族型)と弁護士特約を外すか否かで、保険料の負担が重くなるかが決まります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の自動車保険(+自転車特約)と一覧表で比較しました。自転車向け特約を付けることで上昇する保険料で比較し、さらに自動車保険トータルの保険料で比較しました。保険料は30歳男性(40歳男性)・6等級・アクア・走行距離9000km以下で算出しました。

自動車保険に自転車特約を付けた時の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井住友海上・三井ダイレクト・チューリッヒ保険・東京海上日動火災・東京海上ダイレクト・損保ジャパン・損保ダイレクト・楽天損保・SBI損保・共栄火災・JA共済・こくみん共済coop)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の特約分の保険料は他社と比べて高めです。他社の上昇幅は概ね1万円前後ですが、ソニー損保では2万円に近い上昇幅になっています。ただ、他社の自動車保険では「おりても特約」のような特約は無いため、その分だけ保険料は高いともいえます。

また、自転車向け特約を付けることによる保険料の上昇幅は大きいものの、自動車保険トータルの保険料は平均に近く決して高くはありません。この保険よりも上昇幅は小さいもののトータルの保険料が高い保険が他社にはあります。とはいえ保険料面で優位性が無いのは間違いないため、保険料以外にメリットがあるのか続けて記述していきます。

メリット

ソニー損保にある一連の自転車向けの特約の中では、まずは個人賠償特約の上限が3億円である点がメリットに挙げられます。他社では上限を1億円する保険があります。自転車事故に限っては高額な損害賠償事例でも9000万円台のため1億円でも不足はしませんが、将来的に1億円を超えるケースが出ても不思議ではありません。ソニー損保のように3億円あると金額が不足する心配は不要です。

おりても身の回り品特約があるのもメリットで、他社には類似の特約が無いケースがあります。前述した通り車で自転車を運んで山中を走る場合などには、この特約があれば高額な自転車に乗っていても安心感があります。自転車以外でも車に乗せていたスノーボード・サーフボードも補償の対象となるのも見逃せません。

ソニー損保の自動車保険の自転車向け特約(出典:ソニー損保の自動車保険 保険商品パンフレット2025年1月以降始期版)

弁護士特約で自動車+日常事故タイプが選べるのもメリットです。他社の弁護士特約は自動車事故に限定されているケースがあります。また、自転車事故では加害者にも被害者にもなります。加害者になっても個人賠償特約があればソニー損保が示談交渉してくれますが、被害者になると示談交渉はしてくれません。自分で相手方の保険会社と交渉する必要があり、納得できなくても最悪は泣き寝入りです。この特約があれば保険の補償を使って弁護士に依頼できます。

ちなみにソニー損保の保険契約者はクラブオフという優待サービスが利用できます。その中には自転車店・スポーツショップで5000円割引や3~5%割引の特典があります。これから自転車を購入する人や、ヘルメットや自転車のアクセサリを購入する人にはメリットかもしれません。

デメリット・弱点・落とし穴

まずは「おりても傷害特約」が自転車事故への備えとして不十分な点がデメリットに挙げられます。おりても傷害特約は、あくまで車で出かけた先でのケガが補償される特約です。自宅から自転車で出発して、自転車同士の事故でケガをしても治療費は補償されません。人身傷害保険(車内+車外)があるため自転車と自動車での事故なら補償されますが、自転車と自転車、自転車と歩行者、自転車の単独事故でのケガは補償されません。

おりても特約の補償内容(出典:ソニー損保公式HP「おりても特約」)

おりても身の回り品特約にしても、あくまで車で出かけた先で身の回り品が補償される特約です。自宅に停めていた自転車が盗難されたり、自転車で出かけた先で自転車が盗難・損壊しても補償されません。他社では自転車専用の特約により自転車事故全般によるケガが補償される保険があります。さらに本家の自転車保険なら自転車の盗難・損壊が補償される保険があります。

補償が自転車事故に不十分なわりに、保険料が安くないのもデメリットです。前述した通り他社にはソニー損保よりも保険料が安い保険が複数あり、その中には三井ダイレクト・東京海上ダイレクトのように自転車専用の特約がある保険もあります。子供が自転車に乗り始めた(自転車で通学し始めた)等で自転車事故が気になるなら、自動車保険ごと他社に乗り換えた方が保険料も節約できます。

ちなみに、おりても特約が販売開始されたのは2000年7月で既に20年以上が経過しており、そろそろリニューアルがあっても不思議ではありません。どうしてもソニー損保が良いという人は、あくまで希望的観測ではあるもののリニューアルを待つのも手かもしれません。

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評判・苦情・口コミ

ソニー損保の2024年度の決算資料によると、正味収入保険料(保険会社でいう売上高)は前年度の1505億円から1671億円になり11%増と好調でした。その中で自動車保険の正味収入保険料も前年度の1358億円から1508億円に増加しているため、契約数から考えると評判は良さそうです。

さらに契約数でいうと、価格.comの「自動車保険の満足度ランキング2025」でソニー損保は1位でした。契約数が伸びているのは高い満足度によるところが大きいのが分かります。その一方で、保険市場の「人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)」では、ソニー損保の自動車保険は6位以下でした。どのWEBサイトでもソニー損保の人気が高いわけではありません。

保険市場の人気の自動車保険ランキング2025年11月版(申し込み数)(出典:保険市場公式HP「自動車保険おすすめ人気ランキング」)

とはいえオリコンの自動車保険 顧客満足度ランキング2025でも、ソニー損保は9社中で1位でした。ファイナンシャルプランナー(FP)評価でも1位のため、専門家からの評価も高いです。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料・事故対応等の評価項目毎の順位もありますが、全ての項目で1位という圧巻の結果でした。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「担当者からの折り返し電話が遅い」「契約の更新の方法が分かりにくい」「レッカーが来るのが少し遅い」「担当者の相手との交渉力が弱い」等の意見がありました。全ての項目で1位を取っているとはいえ、少なからず不満はあるようです。

ソニー損保のオリコン自動車保険ランキング2025の順位と各項目の評価(出典:オリコン公式HP「ソニー損害保険 自動車保険の評判・口コミ」)

以上のデータから考えると、ソニー損保の自動車保険の評判は良さそうです。契約数・申し込み数が伸びており、さらに各種調査での満足度も高いからです。ただ、評判が良いのは自動車保険本体の話しで、自転車事故の補償についてではない点に注意が必要です。

総合評価・おすすめか?

結論としては、ソニー損保の自動車保険に自転車向け特約を付けるのは、あまりオススメできません。自転車事故に備えるには補償内容が不十分で、そのわりに保険料も安くないからです。自転車事故が気になる人は、これを機に他社の自動車保険に乗り換えるか、自動車保険とは別に自転車保険に加入した方が賢明でしょう。

他社の自動車保険を検討したい人は、保険料を重視するならチューリッヒのスーパー自動車保険、補償内容なら東京海上日動の自動車保険あたりが候補になります。また、自動車保険とは別に自転車保険に加入するなら、au損保のバイクルや三井住友海上のネットde保険@さいくるを検討すると良いでしょう。