人生100年時代の認知症保険を比較・評価

朝日生命 人生100年時代の認知症保険
オススメ度:
2
保険会社:
朝日生命
名称:
人生100年時代の認知症保険
加入年齢:
40~79歳
保障期間:
終身
保障内容:
認知症で保険金
特徴:
最大500万円の一時金で認知症介護に備えられる

人生100年時代の認知症保険は朝日生命が2020年10月から募集・販売を開始した保険です。この保険はインターネット専用保険(朝日生命のネットほけん)で、インターネットで加入手続きができます。

朝日生命には「あんしん介護認知症保険」もありますが、そちらはインターネットから加入手続きができず、資料請求・問い合わせが必要となります。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の認知症保険と比較していきます。

保障内容

この保険は認知症介護一時金と認知症診断一時金で構成されています。認知症介護一時金は生まれて初めて医師から認知症と診断され、かつ公的介護保険制度の要介護1に認定されると受け取れます。金額は50~500万円の範囲内で50万円単位で設定でき、一時金を受け取れるのは1回限りとなっています。

人生100年時代の認知症保険の保障内容(出典:朝日生命プレスリリース「インターネット専用保険、新登場!」2020年9月30日)

要介護1の認定待ちだったり要介護1と認定されなかった場合でも、認知症診断一時金が受け取れます。金額は認知症介護一時金の10%となるため5~50万円となります。こちらも受け取れるのは1回限りです。認知症診断一時金を受け取っても認知症介護一時金の保障は消滅しませんが、認知症介護一時金を受け取った時点で契約は消滅します。

また、認知症一時金が無く認知症介護一時金のみのⅡ型も存在します。Ⅱ型にすると認知症介護一時金が200万円だと、保険料は月額で数百円ほど安くなります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・Ⅰ型かⅡ型か等で変動します。性別では基本的に男性より女性の方が保険料は高く、契約時の年齢が高いほど保険料は高くなります。さらにⅡ型よりも認知症診断一時金があるⅠ型の方が保険料は高いです。

人生100年時代の認知症保険の保険料一覧表(出典:朝日生命公式HP「人生100年時代の認知症保険」)

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の認知症保険と一覧表で比較しました。各社によって公にされている情報が異なるため、80歳で認知症になった場合の返戻率で比較しました。また、年金形式ではなく一時金で受け取るパターンで比較しました。

認知症保険の50歳と60歳と70歳の保険料の比較一覧表(第一生命・朝日生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・住友生命・日本生命・ネオファースト生命・明治安田生命・ライフネット生命・楽天生命・アクサ生命・リボン少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険(Ⅰ型)の返戻率は他社と比較して高くトップクラスのため保険料は安いといえます。認知症介護一時金に絞ったⅡ型にすると一段と返戻率は高くなり、他社よりも一段と高い返戻率になります。とはいえ他社には軽度認知障害の保障が付いている保険があり、その意味で保険料は割高ともいえます。続いて保険料以外にメリットがあるのか、メリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずはインターネットで加入手続きができる点が挙げられます。他社の保険を見渡せば特段珍しいことではありませんが、朝日生命では限られた保険のみネットで加入手続きができます。同じ朝日生命のあんしん介護認知症保険は資料請求と対面が必要となりますが、この保険はネットで完結できるため手間を省けて好きな時間に手続きができます。

さらに、この保険は子供が契約者となり親を被保険者に指定できる生命保険業界初(2020年8月時点)の保険でもあります。これで親を説得せずに子供の判断で加入でき、子供が保険料を負担もできます。両親が被保険者になるにあたっての手続きは、インターネットではなく必要に応じて書類郵送による手続きも可能です。他社も追随しているケースが散見されますが、今でも対応していない保険会社もあります。

人生100年時代の認知症保険の加入手続き(出典:朝日生命プレスリリース「インターネット専用保険、新登場!」2020年9月30日)

また、他社でも保険金の受け取りには公的介護保険の要介護1認定が必要なケースがありますが、この保険では要介護認定の前に認知症一時金が受け取れます。要介護1の認定には居住地の役所で申請・審査があり、想定以上に時間を要するケースもあります。この保険なら申請中に必要となった治療費等を認知症一時金でカバーできます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険金を受け取るには要介護1認定が必要な点が挙げられます。この保険では要介護1認定が無くても認知症診断一時金が受け取れますが、そもそも他社の保険では要介護1認定が不要な保険があります。住友生命・日本生命の認知症保険なら認知症と診断確定された時点で、主契約の数百万円の保険金(一時金)が受け取れます。

また、契約してから2年以内に認知症になると、契約時に定めた額の一時金が受け取れないのもデメリットです。契約から2年以内に認知症になると、その間に支払った保険料相当額が戻ってきて契約は消滅します。他社にも同様の免責期間がありますが、1年・180日といったケースが多く2年よりも短いです。

人生100年時代の認知症保険の保障内容(出典:朝日生命プレスリリース「インターネット専用保険、新登場!」2020年9月30日)

軽度認知障害の保障がないのもデメリットでしょう。軽度認知障害は認知症の前段階で、この保険では医師から認知症ではなく軽度認知障害と診断されると一時金は受け取れません。軽度認知障害から治療によって回復するケースもあり、その場合は喜ばしいものの保険金は受け取れず保険料が無駄になります。

他社と異なり死亡給付金が無いの点にも注意が必要です。認知症にならずに死亡した場合には、何の保険金も受け取れません。他社の保険では死亡給付金があれば返戻率はゼロにはなりませんが、この保険では返戻率がゼロになり保険料が完全に無駄になります。

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評判・苦情

朝日生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は63.5万件で前年度の66.8万件から約5%の減少でした。その中で、人生100年時代認知症保険を含む同社の介護・認知症保険シリーズは、2023年11月に累計販売件数が100万件を突破し堅調です。現に保険市場の認知症保険人気ランキングの資料請求数では、人生100年時代認知症保険は2位です。そのため申込数・契約数等からすると評判は良さそうです。

認知症保険人気ランキング(出典:保険市場公式HP「2025年4月版 人気の認知症保険ランキング」)

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、朝日生命全体に寄せられた苦情数は7023件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の742万件で割った苦情率は0.29%で、契約者1000人のうち2.9件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、朝日生命は13社中13位と最下位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は極めて低いと考えられます。1つ上の順位の富国生命との差が大きいのも気がかりです。

JDパワー 2025年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員部門(出典:JDパワー公式HP)

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」でも朝日生命は27社中27位と最下位でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、どの項目別のランキングでも10位以下でした。JDパワーの調査と整合性が取れるため信憑性が高まります。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保険料が上がった」「保険料が高い」「アフターフォローが無い」「もう少し保険を組み合わせられるようにして欲しい」等の意見がありました。さすがに満足度が低いだけあって満遍なく不満が見受けられます。

以上のデータから考えると朝日生命の評判は悪そうですが、人生100年時代認知症保険の評判は悪くなさそうです。朝日生命の評判については苦情率は平均の範囲内とはいえ、各種調査で最下位の評価のため評判は悪いでしょう。この保険自体の評判については契約数が好調なため評判は悪くないでしょう。ただ、あくまで判断材料は契約数だけのため人気はある程度に考えた方が無難かもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、人生100年時代認知症保険は微妙な保険です。返戻率等のメリットがありますが、デメリット・注意点も相応にあります。特に軽度認知障害の保障が無い点、死亡給付金が無い点、2年間という他社より長い免責期間は人によっては致命的ともいえます。

同じ朝日生命ならあんしん介護認知症保険も検討した方が良いでしょう。他社の保険なら総合的な良さでいえばネオファースト生命の認知症保険、介護状態・医療保障等も併せて検討したいならフコク生命・アクサ生命あたりの認知症保険が候補になります。