ひまわり認知症予防保険を比較・評価

- オススメ度:
- 保険会社:
- 太陽生命
- 名称:
- ひまわり認知症予防保険
- 加入年齢:
- 20~85歳
- 保障期間:
- 終身・10年
- 保障内容:
- 認知症で保険金
- 特徴:
- 認知症でまとまった一時金の保障
ひまわり認知症予防保険は太陽生命が2018年10月に募集・販売を開始した保険です。2016年に販売を開始した「ひまわり認知症治療保険」は業界に先駆けて認知症を保障した保険でしたが、それをリニューアルして「ひまわり認知症予防保険」が誕生しました。今では珍しくありませんが、この保険が初めて軽度認知障害(MCI)を保障しました。
認知症保険の先駆けでありMCIを初めて保障した保険とはいえ、他社の保険が追随しており今では唯一の存在ではありません。ただ、販売開始当初から保障内容が改定されており独自性は保たれています。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の認知症保険と比較していきます。
保障内容
この保険は認知症診断保険金が必須で、他の保険金・給付金は自分で付けるか選択できます。認知症診断保険金は保険を契約してから90日以後に器質性認知症になると受け取れます。認知症診断保険金の金額は10~300万円の範囲内で設定できます。

その他に認知症については認知症治療保険金と軽度認知障害保険金があります。認知症治療保険金は認知症になった状態が180日継続した時に受け取れます。認知症治療保険金の金額は50~1000万円の範囲内で設定できます。軽度認知障害保険金は認知症になる手前の軽度認知障害と診断されると受け取れます。金額は認知症診断保険金額の10%分となるため、自動的に1~30万円の範囲内で決まります。
さらに予防給付金・満期保険金・死亡保険金がありますが、これらは3つでセットとなっています。予防給付金は加入から1年後から2年毎に受け取れ、死亡するか保険期間が満了するか認知症になるまで受け取れます。予防給付金は金額は1回あたり1~10万円まで設定でき、満期時には6回分の満期保険金が受け取れます。死亡保険金は認知症になる前に死亡すると受け取れ、金額は予防給付金の15回分となります。

その他に希望に合わせて医療保険・がん保険・死亡保険などを組み合わせられます。ただし、この保険だけなら加入時に4つの簡単な告知項目(後述)だけで済むのが、他の保険も組み合わせると告知項目が増加してしまいます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・保険期間・保険料払込期間・特約の有無等で変動します。性別では基本的に女性より男性の方が保険料は安く、契約時の年齢が低いほど保険料は安くなります。保険金額が低いほど保険料は安くなり、保険期間は終身よりも10年等の定期の方が安いです。
また、特約は軽度認知障害保険金特約・生存給付金特則(予防給付金等)がありますが、これらの特約を付けると保険料は高くなります。50歳・終身で軽度認知障害保険金特約を30万円付けると保険料は月額800円ほど上昇し、生存給付金特則で予防給付金を1万円付けても保険料は月額900円ほど上昇します。特約・特則ではありませんが、認知症治療保険をセットにしても保険料は上昇します。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の認知症保険と一覧表で比較しました。各社によって公にされている情報が異なるため、80歳で認知症になった場合の返戻率で比較しました。また、年金形式ではなく一時金で受け取るパターンで比較しました。

この保険(認知症診断保険金のみ)の返戻率は他社と比較して低いため保険料は高めといえます。とはいえ他社には、太陽生命よりも返戻率が低い保険もあるためダントツに高いわけではありません。かろうじて返戻率は100%を上回っているため認知症になっても損をするわけでもありません。続いて保険料以外にメリットがあるのか、メリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは認知症になると二段階で保険金が受け取れる点が挙げられます。他社の多くの保険では認知症と診断されて保険金を受け取ると終了ですが、この保険では認知症が180日経過すると別途で保険金が受け取れます。1回目の保険金を治療の初期費用に充てて、2回目は施設の入所費用に充てるといった使い方ができます。どちらの保険金も他社と異なり受け取り条件に要介護1認定が不要なのも見逃せません。
さらに保障面では軽度認知障害保障特約が付けられるのがメリットです。他社には軽度認知障害(MCI)に備えられない保険があり、主契約とセットになっているケースもあります。この保険では特約のため自分で付けるか選択でき、特約分の保険料も50歳・30万円なら月額800円ほどで済みます。
予防給付金があるのも悪くありません。予防給付金の金額は1~10万円まで設定でき、2年ごとに受け取れて10年の満期時には6倍の額の給付金が受け取れます。予防給付金の用途は旅行・買い物でも良いのですが、太陽生命が勧めるのはMCIスクリーニング検査です。この検査は軽度認知障害のリスクを調べる検査で、1回あたり2万円程度の費用が必要です。ただ、予防給付金を使えば2年おきに検査を受けても出費にはなりません。
その他に保険契約者は認知症のための各種サービスが利用できます。認知症の予防・早期発見のためのアプリの他、健康ウォーキングツアー、認知症関連施設紹介サービス等もあります。健康ウォーキングツアーはガイドによる自然の中でのウォーキングの他に、旅館に泊りがけでいくため地元食材の料理も楽しめます。

デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは返戻率が低い点が挙げられます。前述したように他社には返戻率が200~400%台の保険がある中で、この保険は100%台のため保険料が他社より高めです。保険料の高さは他社と異なり公的介護保険の要介護1の認定が不要である分だけ、保険金を受け取るハードルが低いからとも考えられます。とはいえ保険料に割高感があるのは否めません。
予防給付金にも注意が必要です。予防給付金は50歳男性で予防給付金1万円なら特約分の保険料は月額900円程度です。1年間で合計9800円で2年間で約2万円、10年間だと10万円を支払ます。それに対して予防給付金は1年後と2年おきの1万円(計5回)と、満期時に6倍の6万円を受け取れます。合計すると11万円のため、支払った保険料とほぼ同額に近い額が戻ってくるだけで大して得はしていません。

さらに認知症にならずに死亡給付金を受け取った場合、前述の返戻率ではなく100%を下回り支払った保険料に対して損失が発生します。死亡給付金の額は認知症診断保険金の10%のため、認知症診断保険金が300万円なら死亡給付金は30万円です。その条件で保険料は50歳で約6000円のため、30年後に死亡すると返戻率は僅か13%です。もしも予防給付金を付けていなければ死亡給付金は無いため、支払った保険料はほぼ無駄になります。
サービス面でも認知症診断アプリや認知症の無料相談等は、他社の保険でもあるため珍しくありません。MCIスクリーニング検査についても朝日生命に類似のサービスがあります。そもそも検査の費用は2万円程度が自己負担で、保険契約者なら2000円のクオカードがもらえるだけの特典です。
評判・苦情
太陽生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は75.7万件で前年度の84.7万件から約10%の減少でした。その中で認知症保険の累計販売件数は2023年4月時点で90万件を突破しました。2016年の販売開始から7年で年間10万件を超えるペースで今でも好調といえます。
ただし、この保険(無選択緩和型認知症診断保険)の今年度の新契約数は2.1万件で、前年度の3.6万件から減少しています。認知症治療保険金があるタイプ(無選択緩和型認知症治療保険)は1.2万件から5172件に半減しています。契約数のペースは明らかに失速しているため、申込数・契約数等からすると評判はあまり良くありません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、太陽生命全体に寄せられた苦情数は3467件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の742万件で割った苦情率は0.17%で、契約者1000人のうち1.7件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2025年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、太陽生命は13社中8位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は平均よりは低めと考えられます。

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」でも太陽生命は27社中13位と中間に近い順位でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、項目別のランキングでは加入手続きで8位、商品内容で6位でした。保険料・アフターフォローはさておき、職員と保険の内容自体は比較的満足されているようです。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「問い合わせたら、たらい回しにされた」「加入するまでは小まめに連絡があるが、加入後は音沙汰なし」「テレビCM等より保険料が高い気がする」「保険料の支払いの選択肢が少ない」等の意見がありました。
その一方で同じオリコンの「2025年 FPが選んだ オリコン認知症保険ランキング」では、ひまわり認知症予防保険は4位でした。評価項目である保険料・保障の独自性・商品内容では、保障の独自性・商品内容では3位と高い評価を受けています。前述したように他社より保険料は高いのですが、保険自体への専門家の評価は高めです。

以上のデータから考えると太陽生命の評判は普通そうで、ひまわり認知症予防保険の評判は悪くなさそうです。太陽生命の評判についてはJDパワー・オリコンの調査では平均に近く、苦情率も悪くないため過度な心配はいらないでしょう。この保険自体の評判については、契約数が一時期よりは失速しているとはいえ、今でも一定数の新契約数は保持しており専門家からの評価も悪くありません。そのため評判が悪いとはいえません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ひまわり認知症予防保険は微妙な保険です。以前までは他社には無かったメリットが、今では他社でも見受けられ、保険料もネックになっているからです。保険料の割にはどうしても他社と比べて保障内容で物足りない感があります。このあたりの他社の追随が新契約数の鈍化を招いているのではないでしょうか。
他社の保険も検討したい人は、総合的な良さでいえば朝日生命・ネオファースト生命あたりの認知症保険を検討すべきでしょう。介護状態・医療保障等も併せて検討したいならフコク生命・アクサ生命あたりの認知症保険も候補になります。