スマート・ケア認知症重点プランを比較・評価

アクサ生命 スマート・ケア認知症重点プラン
オススメ度:
1
保険会社:
アクサ生命
名称:
スマート・ケア認知症重点プラン
加入年齢:
40~80歳
保障期間:
終身
保障内容:
認知症で保険金
特徴:
認知症一時金を治療費や介護サービスに

スマート・ケア認知症重点プランはアクサ生命が2020年9月から募集・販売を開始した保険です。この保険は他社の認知症保険と異なり、医療保険に認知症の保障(認知症一時金特約)をつけた保険です。スマートケア自体は20代から加入できますが、この保険は認知症一時金特約があるために加入できるのは40歳からとなっています。

それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の認知症保険と比較していきます。

保障内容

まず、この保険は医療治療保険が主契約のため必須で、認知症一時金特約と通院支援特約は自分で付けるか否かを選択できます。医療治療保険は入院治療一時金・集中治療給付金・手術給付金・放射線治療給付金で構成されています。入院治療一時金は入院日数に関わらず入院を1回すると受け取れ、金額は自分が設定した基本給付金額の10倍の額となります。

スマート・ケア認知症重点プランの保障内容(出典:アクサ生命公式HP「スマート・ケア認知症重点プラン(保障内容)」)

集中治療給付金は集中治療室(ICU)で治療を受けた時、手術給付金は手術を受けた時、放射線治療給付金は放射線治療を受けた時に受け取れます。集中治療給付金の額は基本給付金額の50倍、放射線治療給付金は基本給付金額の10倍の額となります。手術給付金だけは手術の種別によって金額が5~50倍に変動します。

通院支援特約を付けると、入院して退院した時と外来手術を受けた時に通院支援一時金が受け取れます。基本給付金額を5000円に設定すると50倍の2.5万円が受け取れます。さらに1回あたりの入院が30日以上となった場合には、100倍の5万円が受け取れます。

認知症一時金特約を付けると、認知症と医師から診断されて公的介護保険の要介護1と認定された時に認知症一時金が受け取れます。認知症一時金の額は50万・100万・150万円が設定できます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・特約の有無等で変動します。主契約部分は20~30代だと女性より男性の方が保険料が安く、40代だと男性の方が保険料が高くなります。保険金額が高いほど保険料は高くなり、認知症一時金が50万円と150万円では、50歳男性で毎月の保険料が1000円ほどの差があります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の認知症保険と一覧表で比較しました。各社によって公にされている情報が異なるため、80歳で認知症になった場合の返戻率で比較しました。また、年金形式ではなく一時金で受け取るパターンで比較しました。

認知症保険の50歳と60歳と70歳の保険料の比較一覧表(第一生命・朝日生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・住友生命・日本生命・ネオファースト生命・明治安田生命・ライフネット生命・楽天生命・アクサ生命・リボン少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険(基本給付金額5000円・認知症一時金150万円)の返戻率は他社よりも低いため、保険料は他社より高いです。この保険は医療保障も付いている分だけ高いともいえますが、入院・手術を1回ずつしても返戻率は100%を上回りません。そのため返戻率・保険料おでは他社よりも優位性はないでしょう。続いて保険料以外にメリットがあるのか、メリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは認知症になっても医療保障が残る点が挙げられます。他社の認知症保険は認知症の保障が主契約となっているため、認知症になり保険金を受け取ると保障が消滅します。この保険は認知症になった後も医療保障が残るため、病気・ケガで入院・手術をすれば給付金が受け取れます。

その逆に高齢になっても認知症にならなかった場合、他社の保険は死亡保険金が無い場合には保険料が全て無駄になります。この保険は医療保障があるため、認知症にならなかった場合でも少なからず給付金が受け取れます。老衰で死亡する場合を除いて、多くの人が病気で入院して死亡するため何らかの給付金が受け取れます。

その医療保障は入院治療一時金・集中治療給付金・手術給付金・放射線治療給付金で構成されています。その中でも入院治療一時金は日帰り入院を含める入院を1回する度に、基本給付金額の10倍の額が受け取れます。入院日数は無関係で、まとまった金額の給付金が短期入院でも受け取れます。入院日数に応じて受け取れる医療保険と比べて、入院が10日以内ならアクサの方が多額の給付金を受け取れることになります。

入院治療一時金・集中治療給付金・手術給付金の保障内容(出典:アクサ生命公式HP「スマート・ケア認知症重点プラン(おもな特長)」)

また、既にアクサの医療保険(スマートケア)に加入している人は、認知症一時金特約だけ付けられるのもメリットでしょう。その場合には認知症一時金特約の特約分の保険料は加入時の年齢によって決まりますが、既に加入している医療保険の保険料は変わりません。若いうちに加入して安い保険料になっている人は、このメリットを使わない手はないでしょう。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは返戻率が低い点が挙げられます。前述したように他社には返戻率が300~400%台の保険がある中で、この保険の返戻率100%を下回ります。医療保障があるためやむを得ませんが、認知症一時金特約のみの返戻率は200%超(50歳男性・認知症一時金150万円で保険料は1655円)のため、医療保障が如何に足を引っ張っているかが分かり残念でもあります。

さらに認知症一時金を受け取るためには認知症の診断確定に加えて、公的介護保険の要介護1認定が必要です。要介護1認定は居住地の役所で申請して審査を受ける必要があります。審査の結果で要介護1ではなく手前の要支援1・要支援2になる可能性もあります。その後も審査を受けるとしても、要介護1認定される前に死亡すると返戻率は100%を大きく下回ります。

認知症一時金を受け取るための条件(出典:アクサ生命公式HP「スマート・ケア認知症重点プラン(おもな特長)」)

さらに病気にならずに死亡(老衰等)した場合、この保険には死亡保険金が無いのもデメリットになります。他社の死亡保険金がある保険なら、老衰で死亡しても保険金が受け取れるため返戻率がゼロにはなりません。この保険では認知症・病気にならずに死亡すると返戻率はゼロになります。

保障面では軽度認知障害の保障が無いのもデメリットでしょう。他社には認知症の前段階である軽度認知障害でも保険金が受け取れる保険があります。厚労省「都市部における認知症有病率(平成26年)」によると、認知症と軽度認知障害の人はほぼ同数のため、軽度認知障害でも受け取れれば保険金を受け取れる機会が倍増することになります。

ちなみに他社の認知症保険では、契約者向けに認知症に関する各種サービスが利用できます。認知症に関する電話相談だけではなく認知機能のチェックアプリ等は標準装備に近いです。さらに第一生命・朝日生命には、高齢者に異常があると駆けつけてくれる「ALSOKの代わりに訪問サービス」があります。太陽生命には健康維持・認知症予防のための「健康ウォーキングツアー」があります。

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評判・苦情

アクサ生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は52.4万件で前年度の50.6万件から約3%の増加でした。この保険も含む入院保障の保険の保有契約高も増加しており、申込数・契約数等からすると評判は悪くはありません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、アクサ生命全体に寄せられた苦情数は7718件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の313万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

さらに調査会社のJ.D.パワーの「2025年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」でも、アクサ生命は13社中4位で平均値も上回っていました。保険代理店部門でも同じく4位で、アクサの職員と直接やりとりしても代理店を経由しても、平均以上の満足度は得られるようです。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目です。

JDパワー 2025年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員部門(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2025年生命保険契約満足度調査 保険代理店部門(出典:JDパワー公式HP)

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」では、アクサ生命は27社中8位と順位を落としていますが、調査対象企業が増加した点を考慮すれば平均以上でしょう。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、項目別のランキングではアフターフォローで9位に入っていました。それ以外の項目は10位以下のため、総合的な満足度で8位を取ったのでしょう。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「マイページへのログインが面倒」「契約後には連絡がない」「保険料を安くしてほしい」「もっと早く新商品を提案してほしい」等の意見がありました。平均以上とはいえ少なからず不満が見受けられます。

以上のデータから考えるとアクサ生命の評判は普通そうで、スマートケア認知症重点プランの評判も悪くはなさそうです。アクサ生命の評判についてはJDパワーでもオリコンでも調査結果が平均以上で、苦情面からしても評判は普通と考えられます。この保険自体の評判については契約数からすると悪くなそうです。とはいえ契約数だけでの判断のためデータ不足感はあります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アクサ生命のスマート・ケア認知症重点プランはイマイチな保険です。認知症の保障に医療保障が付いているのは魅力的ですが、いかんせん返戻率が他社と比較して芳しくありません。これなら認知症保険と医療保険を1つずつ契約した方が良いでしょう。

他社の保険も検討したい人は、総合的な良さでいえば朝日生命・ネオファースト生命あたりの認知症保険を検討すべきでしょう。介護状態・医療保障等も併せて検討したいならフコク生命・アクサ生命あたりの認知症保険も候補になります。