認知症保険 to スマイルを比較・評価

ネオファースト生命 認知症保険toスマイル
オススメ度:
3
保険会社:
ネオファースト生命
名称:
認知症保険 to スマイル
加入年齢:
40~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
認知症で保険金
特徴:
家族の明日の笑顔を応援する保険

認知症保険toスマイルはネオファースト生命が2021年12月に募集・販売を開始した保険です。他社の多くの認知症保険が2018~2020年に販売を開始したため、認知症保険としては後発になります。

その中で生命保険業界で初めて「歯の健康度」による保険料割引を導入し、後発ながらも注目を集めました。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の認知症保険と比較していきます。

保障内容

この保険の主契約は認知症保険金で、特約・特則として死亡保障特則・軽度認知障害保障特約・歯数割引特則があります。主契約は必須ですが、特約・特則を付けるかは自分で選択できます。主契約の認知症保険金は医師から認知症と診断され、かつ公的介護保険の要介護1認定で受け取れます。保険金額は100~500万円の範囲内で自分で設定できます。

認知症保険toスマイルの保障内容・仕組み(出典:ネオファースト生命ニュースリリース「認知症保障保険(認知症保険toスマイル)を発売!」2021年11月22日)

軽度認知障害保障特約を付けると、医師から軽度認知障害(MCI)と診断されると軽度認知障害給付金が受け取れます。給付金額は認知症保険金の10%で、軽度認知症とならずに認知症となった場合にも受け取れます。

死亡保障特則を付けると、認知症にならずに死亡した時に死亡保険金が受け取れます。保険金額は自分で定めた給付倍率を認知症保険金額に掛けた額となります。例えば認知症保険金額を300万円に設定して、給付倍率を10%に設定すると死亡保険金は30万円となります。給付倍率は男性は30%、女性は30~60%の範囲内で設定できます。

歯数割引特則を付けると、70歳時に20本以上の歯が残っていれば保険料が割引されます。歯があるかは自己申告ではなく、歯科医院で医師から証明してもらう必要があります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・保険期間・保険料払込期間・特約と特則の有無等で変動します。性別では基本的に男性より女性の方が保険料は高く、契約時の年齢が高いほど保険料は高くなります。保険金額が高いほど保険料は高くなり、付ける特約・特則が増えるほど保険料は高くなります。

認知症保険toスマイルの保険料一覧(出典:ネオファースト生命ニュースリリース「認知症保障保険(認知症保険toスマイル)を発売!」2021年11月22日)

軽度認知障害保障特約は主契約の半額程度の保険料が加算されます。主契約と異なり、男性より女性の方が特約分の保険料は安いです。また、歯数割引特則を付けると70歳以降になると保険料が10~20%ほど安くなります。あくまで70歳以降である点に注意が必要です。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の認知症保険と一覧表で比較しました。各社によって公にされている情報が異なるため、80歳で認知症になった場合の返戻率で比較しました。また、年金形式ではなく一時金で受け取るパターンで比較しました。

認知症保険の50歳と60歳と70歳の保険料の比較一覧表(第一生命・朝日生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・住友生命・日本生命・ネオファースト生命・明治安田生命・ライフネット生命・楽天生命・アクサ生命・リボン少短)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の返戻率(歯数割引を適用後)は他社と比較して高く、50歳の平均値である250%も大きく上回るため保険料は安いといえます。この保険よりも返戻率が高いのは朝日生命のみで、その差も60歳・70歳なら20%ほどです。続いて保険料以外にメリットがあるのか、メリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは軽度認知障害の保障がある点が挙げられます。他社には住友生命のように軽度認知障害の保障が無い保険があります。この保険だと軽度認知障害で保険金を受け取った後に認知症になっても、いきなり認知症になっても受け取れる額は同じというのもポイントです。

さらに死亡保障特則があるのも見逃せません。他社にも死亡保障がある保険がありますが、保険金額が認知症保険金額の10%に留まるケースが大半です。この保険なら最低でも認知症保険金の30%の額の死亡保険金が受け取れます。女性なら60%まで設定できるため、人によっては別途で終身保険に加入せずに認知症保険だけで済ますことも可能でしょう。

70歳以降に保険料が安くなる歯数割引があるのもメリットです。70歳以降になると多くの人が年金生活に入るはずで、そのタイミングで保険料が割引されるのは家計にも助かるでしょう。歯数割引のために残存歯数証明書を取得したが適用されない場合でも、残存歯数証明書の取得費用として5000円が受け取れるのも悪くありません。

その他に保険契約者は各種サービスが利用できます。24時間の電話健康相談サービスの他に、セカンドオピニオンサービス・病院の受診手配と紹介サービスがあります。電話健康相談では介護の相談も可能で、要介護認定のためのプロセスや特別用語老人ホームの入所のための手続きについても相談できます。

認知症保険toスマイルの契約後のサービス(出典:ネオファースト生命「認知症保険toスマイル」商品パンフレット2021年12月版)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは歯数割引が適用されるのは70歳以降である点が挙げられます。70歳以降に契約すると割引は適用されません。あくまで70歳未満の段階で保険料を終身払いにする必要があり、保険料は有期払い(60歳払込完了・65歳払込完了など)もできません。

歯数割引のための手順・申請方法が面倒なのも見逃せません。70歳で歯数判定の6ヶ月前に書類が届き、それを持参して歯科医院で受診し、残存歯数証明書と請求書兼振込依頼書をネオファースト生命に返送する必要があります。厚労省「平成28年歯科疾患実態調査」では、70代以上で歯の平均残存本数が18.8本のためハードルは意外と高い点も気がかりです。

歯数割引の適用条件と手続き(出典:ネオファースト生命「認知症保険toスマイル」商品パンフレット2021年12月版)

さらに認知症にならずに病死等で死亡給付金を受け取った場合、返戻率が著しく下がる点に注意が必要です。前述の保険料(返戻率)の比較では優秀な数字でしたが、死亡すると受け取れるのは死亡保険金のため返戻率は100%を超えるか否かになります。ちなみに認知症保険金を受け取ると主契約が消滅するため、認知症後に死亡しても死亡保険金は受け取れません。

また、認知症保険金の保障開始と受取条件にも注意が必要です。この保険では軽度認知障害・認知症の保障は契約して180日経過後に開始します。契約から180日以内に軽度認知症・認知症になっても支払った保険料相当額が戻ってくるだけで、それを受け取って契約は消滅します。保険金を受け取るには認知症の診断確定の他に要介護1認定も必要で、日本生命・太陽生命のように認知症診断だけで保険金は受け取れません。

ちなみに契約向けのサービスである健康無料相談等は他社の保険でもあるため珍しくありません。他社には認知症予防アプリや軽度認知なのかチェックできるサービスがあります。それらに加えて第一生命・朝日生命には、高齢者に異常があると駆けつけてくれる「ALSOKの代わりに訪問サービス」があります。太陽生命には健康維持・認知症予防のための「健康ウォーキングツアー」があります。

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評判・苦情

ネオファースト生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は20.5万件で前年度の16.2万件から約26%の増加でした。その中で認知症保険を含むであろう「その他」の保険の保有契約高も前年度から伸びていました。保険市場の認知症保険人気ランキングでも資料請求数で5位のため、申込数・契約数等からすると評判は悪くありません。

認知症保険人気ランキング(出典:保険市場公式HP「2025年4月版 人気の認知症保険ランキング」)

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、ネオファースト生命全体に寄せられた苦情数は797件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の94.3万件で割った苦情率は0.08%で、契約者1000人のうち0.8件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は良いです。

さらに調査会社のJ.D.パワーの「2025年 生命保険契約満足度調査(保険代理店部門)」でも、ネオファースト生命は17社中で7位と悪くありません。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも平均以上の満足度はあるようです。

JDパワー 2025年生命保険契約満足度調査 保険代理店部門(出典:JDパワー公式HP)

その一方で「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」では、ネオファースト生命は27社中24位と下位に沈んでいました。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、項目別のランキングでは保険料で8位に入っているだけでした。その他の項目は全て10位以下で満足度は低いようです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保障内容が薄い」「契約後のアフターフォローはない」「連絡しようにも連絡手段がない」「保険料が思ったより高い」等の意見がありました。保険料の満足度は高めのはずですが、保険料に対する不満が散見されました。

その一方で同じオリコンの「2025年 FPが選んだ オリコン認知症保険ランキング」では、認知症保険toスマイルは2位でした。評価項目である保険料・保障の独自性・商品内容では、保険料・保障の独自性で2位と高い評価を受けており専門家の評価は高いです。

認知症保険ランキング(出典:オリコン公式HP「2025年 FPが選んだ オリコン認知症保険ランキング」)

以上のデータから考えるとネオファースト生命の評判は少し悪そうですが、認知症保険toスマイルの評判は悪くなさそうです。ネオファースト生命の評判についてはJDパワーの調査結果は上々ですが、オリコンでの調査結果からすると評判は少し悪いといえます。この保険自体の評判については、資料請求数は多めで専門家からの評価も高いため悪くはないでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、認知症保険toスマイルは悪くない保険です。軽度認知障害の保障・死亡保障があり、その上で返戻率も他社よりも高めのため悪くない保険といえます。評判面でも著しく悪い点はなく、過度な心配は不要というのも良いです。

他社の保険も検討したい人は、この保険以外では総合的な良さでいえば朝日生命あたりの認知症保険を検討すべきでしょう。介護状態・医療保障等も併せて検討したいならフコク生命・アクサ生命あたりの認知症保険も候補になります。